“Holy Grail” その2
Dr. FoxはMN-166(Ibudilast、イブジラスト)を“Holy Grail”の可能性がある薬と評した。通称「Green Journal」(表紙が緑色なので)と呼ばれている神経疾患学の専門雑誌の最高峰“Neurology”の論説に紹介されたのだからメディシノバのとってはこの上ない喜びである。
3年前に私たちが「MN-166には“直接的な”神経保護作用があるのではないか、Axonのダメージを抑える作用があるのではないか」と言及したときには冷ややかだった専門家の態度がこの2年間で変わってきたことははっきりとわかるし、特に今後を担うと思われる若手専門家の間ではホットなトピックである。特に、3年前から、MN-166のこれらの作用のことを誰よりも速く見抜いて声を大きく主張してきた医学担当の副社長の松田にとって、Dr. Foxが同じ事をNeurology の誌上ではっきりと言及してくれた事には感慨深いものがあったに違いない。
一方、私はメディシノバの社長として“Holy Grail”と紹介されたこの薬を世に出さなければならない責任を更に強く感じている。偶然ではあるが論文が発表された直後、4月上旬にアメリカ神経学会がトロントで開催されることになっていた。メディシノバからはCSO(チーフ・サイエンス・オフィサー)のカーク・ジョンソン、医学担当副社長の松田和子、それにElan社の元社長でメディシノバと合併したアヴィジェンのCBO(チーフ・ビジネス・オフィサー)であったマイケル・コフィーの3名が参加した。とにかく超多忙で、日曜の朝から木曜日の夜までスケジュールがびっしりで、ある時は3人がばらばらに対応しなければならなかったとの報告を受けた。いよいよ佳境である。今週も3人は席を暖めるまもなくフォローアップに飛び回っている。ペンシルバニア、イリノイ、マサチューセッツ、そして東京、、、、。
松田がサンディエゴに戻ってきたらトロントの詳しい報告をブログにでも書いてもらいましょう。
岩城裕一