MN-221-CL-007の治験結果が発表になりました
皆さん、本当にお久し振りです。
MN-221-CL-007 試験の結果が発表できるまで、ブログを書くのは自粛するようにという事で、6か月も間があいてしまいました。ごめんなさい。
皆さんご存じの通り、先週、MN-221-CL-007の治験結果のトップラインの結果が発表になりました。
そして、その後色々なご質問をいただきました。プレスリリースが解りづらかったようで、すみませんでした。
まず一番解りづらかったと思われるのは「プレスリリースには主要評価項目が統計的に有意でなかった、とも書いてあるけれど、表をみると有意な結果が出ているようにも見えるし、?うーん一体、治験は良い結果だったの?それとも残念な結果だったの?」という事だったようです。
そこでブログの場を借りて何度かに分けて、プレスリリースの補足説明をしたいと思います。
FEV1というのは1秒率と言って、精一杯息を吸い込んだ後、力一杯息を吐き出した空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量(1秒量)の割合です。このFEV1は肺機能検査でいくつかある項目の一つです。このFEV1値が、お薬の投与前から投与3時間後までの間に、どのように変化したかをAUC:Area Under Curve:曲線下面積(0-3時間)で表し、各々の患者さんのこの変化量の“平均値”をプラセボ群とMN-221群で比較する、というのをこの治験での主要評価項目と決めていました。
プラセボ群の中で 非常に大きなFEV1の変化を見せた患者さんがいたのですが、その患者さんには、喘息の初期標準治療では通常使われないお薬(注射薬)が使われていただけでなく、この治験に参加する資格のない(プロトコールで禁じられている)エピネフリンという強いお薬が使われていたことが判明しました。治験薬の投与前に強い注射薬が3種類も使われていた事が、この患者さんのFEV1に異常なまでの大きな変化(改善)を見せたのだと推定されました。
この患者さんに限らず、強いお薬が使われていた人の割合がプラセボ群には多かったのです。他の人に比べて異常に反応している人がいると、“平均値”というものはあまり意味がなくなってしまいます。このような場合は“中間値”のほうがそのグループの特性をよく表してくれるのです。
私達は治験開始前に主要評価項目として「FEV1 のAUC (0-3時間)の平均値」と決めていたのですから、やはりそこは正直に認め主要評価項目は満たさなかった、と説明したのです。でも平均値ではなく中間値を用いて評価すると、良い結果でしたよ、というのがプレスリリースでは説明しきれなかった部分かと思います。
少しは解り易くなったでしょうか?
次のブログではAUC(曲線下面積)を使って表すFEV1ってどういうことか?について説明する予定です。
松田和子