MediciNova
メディシノバブログ
最新の投稿
カレンダー
2012年 10 月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
アーカイブ
プロフィール
岩城裕一
代表取締役社長兼CEO
(最高経営責任者)
岡島正恒
東京事務所代表、副社長
松田和子
医薬担当、副社長

« 2011年4 月 | メディシノバ ブログ TOP | 2011年8 月 »

なでしこJAPAN 快挙!

2011/07/19

その瞬間、きっと日本中が歓喜の渦に包まれたのでしょう!

今朝の新聞各紙の1面トップは、なでしこJAPANの快挙の記事です。新聞やテレビなどメディアのコメントは、一様に「この素晴らしい優勝は、今の日本が最も必要としている、精神的な励ましを母国にもたらした!」という賞賛です。アメリカ人にとっても、清々しい気持ちで負けることが出来た、本当に素晴らしいゲームだったと。仕事の仲間からも、「よかったねJAPAN」のメールを沢山頂きました! 

しばし、ブログをお休みしていた形になりましたが、、、、、(決してサボっていた訳ではありません。その証拠に書いたもののアップしてなかった過去の分も一挙にアップロードしてもらいます、、、。アップしなかった理由は色々ありますが、、、。)

 アメリカの学校のシステムでは6月が日本での3月にあたる学期末です。日本のほとんどの学校で3月に卒業式が行われるように、6月に卒業式があります。治験参加サイトの多くの大学病院や研究機関付属病院も同様のため、スタディ・コーディネーター達の人事異動が起きるのがこの季節。実際、CL-007スタディを頑張ってくれていた、幾つかのサイトのコーディネーター数名が、医学部に合格し9月からの学業に専念するために、CL-007スタディを離れる事になりました。もちろん、そのため、かなり前から別のコーディネーターを補充し、トレーニングを行って備えていますが、実情はなかなかスムーズにいかない事もあるかと思うのです。

 特に7月は夏休み真最中で、「アメリカ中の人がバケーションに出掛けて誰もERなんかに行かないで出歩いているのでは?」と思う位、空港も街中も大混雑しています。夏ですからシーズン的にも(喘息発作の切っ掛けになる)花粉塵も落ち着き、ウイルス性の風邪も流行っていないので、この時期はCL-007スタディは、ゆっくりでも仕方が無いと、思っていました。

実は6月の半ばには臨床開発のセクションの人員が1名抜けたので、その事もCL-007スタディに影響するのかな?と少し心配していたのです。でもチームの頑張りがあって、この1か月には冬シーズン同じ位の患者さんが治験に参加してくれています。去年は5月、6月が0 (ゼロ)名、7月に1名の治験参加者数だった事を鑑みると、「悪くない!」と自画自賛しています。

 5月に行ったプロトコールの一部改訂がFDAからスムーズにOKされ、各サイトの倫理委員会でも承認も着々と進んでいる事。新しいサイトが治験参加者を初めてエンロール(登録)出来た事。改訂後の新しいプロトコールの元で患者さんのエンロールがあった事、、、等々、患者さんのエンロールにポジティブな要因が目に見えてわかった1か月でした。

 新しいコーディネーターや去っていくコーディネーターに挨拶するために、またあちこち、サイトを訪問しています。先週はミネアポリスに行っていました。別の新しいサイトも先週にアクティベートされました。(先週から治験エンロールが可能になったという事です)この新しいサイトは、過去に某社の喘息急性発作の治験でかなりの数の患者さんをエンロール出来た、期待できるサイト。しかも、主任治験医師もサブ治験担当医師も、「薬のプロフィールとしてはMN-221の方が(某社の薬に比べて)ずーっとER(救急部)での治療に合っている」と言って下さいました。 7月、8月とペースを落とさず、今の調子でエンロールが進むよう頑張ろう!

 2011年7月18日 松田 和子

しばらくは、"No more Japan No more China"

2011/07/19

皆さん、こんにちは。

今回のブログの題名は最近、会社の上司(直接の上司ではありませんが)に言われた言葉です。

 「Kazuko ちょっと話をしよう」と彼は部屋に来ました。彼曰く、「Kazukoのサイト訪問とCL-007スタディの患者エンロール(登録)のアクティビティを調べた所 明らかに相関関係がある。君が訪問すると当日か数日中にそのサイトでエンロールが起きている。何が理由か知らないがそういう現象が見られるので、しばらく君は日本の出張も中国の出張も行かないで、サイトを訪問し続けるべきだ。」と。という事で、しばし日本の出張・中国出張の自粛を求められてしまいました。

 そんな事を言われなくても、この頃は、治験プロトールの一部改訂、およびそれに伴う治験用カルテの改訂や、法的な知識を必要とする文書のレビュー(超苦手。涙、涙、、)にかかりっきりで、どこへも出張するような時間的な余裕が無い日々なのです。

と、言うのは

1、いくつもの法律・契約に関わる文書を読み比べ、齟齬が無いように確認する

2、プロトコールの改訂にあたり、誤解釈の無いように、全ページに渡って表現の統一をはかり表現の曖昧さを出来得る限り排除する

3、今までの治験用カルテをプロトコールの改訂に合わせて直し、更に直した新しいカルテをeCRF(治験用カルテから転載するコンピュータ・データベース)の画面と比べて確認する

 という幾つかの全く異なる作業を同時進行で行っているのです

そのため複数のコンピュータ スクリーンに複数の文書ファイルを開いて作業してのですが、マウス使いが下手(年のせい?)なうえに、慣れない法律文書なんかのレビューで余計な力が入っているせいなのか、どんなに重い荷物を持っても筋肉痛にならない私の頑丈な右腕が、筋肉痛?神経痛?になってしまいました。(五十肩ではありませんよ!)

 うちの会社ではデータルームの資料は、一定時間が過ぎるとスクリーンから消えてしまう、、というシステムになっているのです(セキュリティー上の観点から?)。

そのため関連資料ファイルを開けた状態で、新しい文書の校正に“時間を忘れて耽っている”と、資料ファイルに戻って確認しようとしても閲覧出来なくなっている上に、一生懸命校正した文書も、あららら、、保存出来ない!という悲しい状況が起きてしまうのです。それで余計な時間と労力が掛かっていたのかも、、、。(一度コツを掴むと、定期的に上書き保存すれば良い事が解りました。が、それを学習するのに時間がかかった。)

法律・契約文書のレビューはある段階からは弁護士資格を持つ同僚と会社の契約する弁護士事務所が担当したので私の関わる部分は終わりました!(ホッ)しかし、治験カルテの改訂は、未だ格闘しています。〈トホホ、、)

と、言うのは、

本来は、プロトコールの改訂に関する部分を直せば良かったはずなのですが、一通り”直した”時点で、コーディネータの方達、モニターの方達にフィードバックを募ったのです。何故なら、私自身が例えば車の”オーナ用手引書”がすごく ユーザー アンフレンドリー(使い勝手が良くない)でイライラする事を経験していたので、”実際にこの治験用カルテを使う”エンド・ユーザー方達のコメントこそが一番重要 だし、その方達にとって使い易いカルテにしたいと思ったから。

結果、とっても、ありがたい事なのですが、

「折角、ドクター マツダが聞いてくれたので、これは良い機会だから、是非直して欲しい!という部分をリストにして送ってくれました。そうしたら、あらららら。。。。出てくる、出てくる!何という事でしょう!

そのフィードバックを元に、実際に私もコーディネーターになったつもりで、

”架空の治験患者さんを相手に、治験の手順に従ってカルテを書きこむ”

というロールプレイを一人で行ってみたら、、、何と!いくつも改善すべき点が もっとみつかりました!雪だるまのように(って、正しい表現でしょうか?)どんどん問題が見つかるのです。

 と言ってもその一つ一つは決して大した問題ではなく、治験データのクオリティに影響を与えるような事ではなく、コーディネーターやモニターの方々にとって単に”えーっ 面倒‐”というようなレベルの問題なのですが、実はそういう事こそが現場の人間にとっては実はとても大きなことだと思うのです。

この手の治験オペレーションの話題については、いつかまとめて包括的にお話しようと思います。

 後日記(7月18日現在)

>法律・契約に関わる文書とは、中国との合併会社との会社設立契約文書の事でした。

>プロトコールの改訂は5月12日付でFDAにファイルしました。FDAからはあっさりクリアされ、2か月経った現時点で、改訂に関しての質問や懸念は一切ありません。

>治験用カルテの改訂は完了し、すべてのサイトに最新の治験カルテが配布されています。

>皆さんもプレスリリースでご存じの通り、中国との合併会社の契約が無事締結されました。

 

2011年6月 松田 和子

NBC フィラデルフィア

2011/07/19

日本は大型連休ですね。この連休中はボランティア・スタッフとして震災地へ向かう方達や、東北&北関東地方への応援として積極的に観光地へ出向く方々で、東日本への移動が多いのではないですか?

英語版のHPに掲載されているので、既にお気づきの方も多いかも知れません。NBCフィラデルフィア局のテレビニュースでMN-221が取り上げられました。昨年NBCサンディエゴがMN-221について扱った際には、我々も取材に協力し放映日をいつかいつか、、と待っていた事を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。しかし今回のニュースは、放映されるまで会社の人間は誰も知りませんでした。放映後にサイトのスタディ・コーディネーターから連絡がありました。NBCが病院へ直接取材しMN-221が取り上げられた様です。

内容自体は昨年のNBCサンディエゴの番組同様、「β2選択性が高く、安全で、確実に患者さんの体内に届けられる注射薬」というMN-221の特徴と「喘息急性発作の治療薬という分野ではアルブテロール(およびその鏡面構造のレヴォアルブテロール)以降は新しい薬が開発されなかった。喘息発作治療の新しい治療薬が期待されている」事をPrimary Investigator (P I: 治験担当医師)であるDr.Kellyが語っているというもので特に目新しい内容では無いのですが、私個人にとっては非常に感慨深いものがあります。

昨年フェーズ2b(CL-007)治験スタディを任された時、最初にした事は全てのサイトを訪ねPIとスタディ・コーディネーターから直接話を聞き、各ERがどのような患者さんを地域に抱えているか、訪れる喘息患者さんの数や入院率、季節による患者数の変動、等のデータ集積にはじまり、ERのオペレーションの状況、スタディを行うに必要なインフラ、PIやスタディ・コーディネーターの経験や興味の深さ、、等を評価する事でした。この活動を始めた時、前チーム責任者からは「フィラデルフィアのサイトにはCL-007スタディは出来ない。今すぐ閉鎖すべき」というものでした。この病院はその時点での最新プロトコールが倫理委員会の承認を受けておらず、エンロール(患者登録)どころか患者さんのスクリーニング(治験に参加できるかどうかを調べる事)さえ行われていない開店休業状態。フィラデルフィアの隣町にあるCooper Hospitalを訪問した時一緒だったErnest(現CL-007プロジェクトマネージャーの名前)が翌日“アポ無し”でDr.Kellyのサイトを訪問すると言い出しました。このサイト訪問はDr.Kellyで3週間後に予定されていたのですが、Ernestは「会えるかもしれないから、ともかくトライする」と翌日朝の5時から6時にシフトが明けるDr.KellyをER待合室で待ち伏せ。Ernestは「Dr.Kellyを待っている1時間の間だけで“少なくとも6人喘息患者”がERを吸入治療を受けているのを目撃した」と連絡してきました。その後の正式なサイト訪問でここがとてもポテンシャルの高いサイトだという事を確信しました。改めてスタディ・コーディネーターや呼吸器治療技師の方に必要なトレーニングを行い、このサイトが初めて患者さんをエンロール出来たのが、5か月後の11月27日。でも中々その後がうまく続きません。サブ・インベスティゲーターの若い女医さんKathiaはエンロールが順調なサイトのスタディ・コーディネーターに思い切って電話をして助言を求めたのだそうです。その後、少しずつエンロール数が増えました。今年の2月にはDr,KellyとKathiaの計らいでGround Round(病院のドクター全員を対象にした教育レクチャー)に呼んで頂きました。はじめは「製薬会社さんが商品の説明に来たのですか?我々の時間を無駄にしないで下さいねー」といった感じの冷やかな態度だったERのドクター達に、MN-221が日本のキッセイ薬品からライセンスアウトされた事、そもそもは切迫早産の治療薬として開発されてた事、私自身がERで働いていた時に小児喘息患者さんへの吸入薬投与が難しかったった上にアルブテロールの使い過ぎで副作用の不整脈を経験した事がMN-221を喘息急性発作の治療薬の開発と適応症を方向転換する切掛けになった事、、等を説明すると、段々ERドクター達の態度が変わっていきました。最後は共同研究を持ちかけられ(この話は以前ブログで書きましたね)、更にはERドクター全員が(ER部門のチーフドクターまでが)サブ・インベスティゲーターになって下さったのです。

度々ICUに入院していたある患者さんがCL-007治験に参加した時には劇的に症状が改善しERから直接家に戻った、、が、後日、再度発作でERに来た際は治験には参加出来ず、またICUに入院となった、と前回のブログに書いたエピソードもこのERでの事でした。

口コミでMN-221の事が知られるようになって、地元のNBC局が病院へ取材する、、という事に至ったようです。全くCL-007スタディのアクティビティの無かった病院が半年余りで、MN-221の大きなサポーターとなり地元のTV局でMN-221が取り上げられる迄になった経緯は、自分達が去年から取り組んできた事の社会的帰結をみる様で感慨深いのです。

話は変わりますが、、

震災直後から、アメリカにいても、震災地医療支援が可能なドクターを募集(特に日本語が話せる小児科や内科医)するメールが何度も届き、張り切ってあちこちに登録してから早1か月余り。しかし登録先からは未だ連絡も無いまま。しかし、「日本語を話せ、震災地支援出来る医師を募集しているので是非協力して下さい!」という似た内容のメールが様々な団体・媒体を通して今でも何度も届きます。‐何だか府に落ちない気持ちです‐。

去年のハイチ地震の際にも登録したのに、声をかけられなかった私。(その時は患肢の切断など外科手技が出来るドクターを優先してると言われ納得しましたが。。)意外と医療支援の人手が足りているという事なのでしょうか、、、、?

 

2011年5月 松田 和子