AUC (Area Under Curve: 曲線下面積) とは?
MN-221-CL-007 治験結果についてのプレスリリース後に、多くいただいたご質問が「そもそもAUC(曲線下面積)で測る肺機能検査とはどういう事でしょうか?」というものでした。同じような質問はアメリカでも沢山いただきました。AUCという専門用語は、新聞などでも見聞きする事が少ないのですし、私も大学で勉強するまでは知らなかった言葉です。
ではAUC:Area Under Curveとは、またそれで評価する肺機能検査とはどういう事でしょうか?
AUCはArea Under Curveの頭文字を取った略語で、直訳すると“曲線下面積”ということになります。例えば、下のグラフで見ると、青く塗りつぶされた部分は、グラフで表されている曲線の下の部分の面積ですよね。これがAUCになります。
このグラフは、ある患者Aさんのデータを表しています。このAさんは、お薬を投与される前(0時間)のFEV1%が25%でした。お薬投与後1時間後の値が52%、2時間後の値が58%、3時間後の値が62%でした。
さて、もう一人の患者Bさんがいます。BさんはAさんと同様、お薬投与前(0時間)FEV1%が25%で3時間後の値も同じ62%でしたが、1時間後の値が37%、2時間後も37%という違いがあります。BさんのAUCは下のグラフの黄色い部分になります。
単にFEV1%の値を0時間と3時間後の“差”だけで比べると、AさんもBさんも同じ値 62%-25%=37% となりますが、AUC(0-3時間)で比べるとAさんとBさんには違いがありますよね。このようにAUCという方法を使うと、時間の経過によってみられるお薬の効果を、より細やかに表すことが出来るのです。
このAUCは医学・薬学の分野では、薬物の血中濃度を調べて評価する事に使うことが多いようです。例えば、お薬を服用した際に、そのお薬がどのくらい吸収されて、どのくらいの時間にわたって、患者さんの血液の中にとどまっているかを表す事に適しています。その場合はグラフの縦軸がお薬の血中濃度、横軸が時間になります。
高い濃度で、血中に長くとどまるお薬ほど、AUCで表す面積が広くなります。しかし、ピーク時の血中濃度が高くなるけれども、すぐに代謝されて、血中濃度がすぐ低くなってしまうような場合はAUCで表す面積が小さくなるという訳です。
AUCで表された面積を見ることで、色々な事のヒトへの特性がわかり易くなるとも言えますね。
松田 記