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NBC フィラデルフィア

2011/07/19

日本は大型連休ですね。この連休中はボランティア・スタッフとして震災地へ向かう方達や、東北&北関東地方への応援として積極的に観光地へ出向く方々で、東日本への移動が多いのではないですか?

英語版のHPに掲載されているので、既にお気づきの方も多いかも知れません。NBCフィラデルフィア局のテレビニュースでMN-221が取り上げられました。昨年NBCサンディエゴがMN-221について扱った際には、我々も取材に協力し放映日をいつかいつか、、と待っていた事を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。しかし今回のニュースは、放映されるまで会社の人間は誰も知りませんでした。放映後にサイトのスタディ・コーディネーターから連絡がありました。NBCが病院へ直接取材しMN-221が取り上げられた様です。

内容自体は昨年のNBCサンディエゴの番組同様、「β2選択性が高く、安全で、確実に患者さんの体内に届けられる注射薬」というMN-221の特徴と「喘息急性発作の治療薬という分野ではアルブテロール(およびその鏡面構造のレヴォアルブテロール)以降は新しい薬が開発されなかった。喘息発作治療の新しい治療薬が期待されている」事をPrimary Investigator (P I: 治験担当医師)であるDr.Kellyが語っているというもので特に目新しい内容では無いのですが、私個人にとっては非常に感慨深いものがあります。

昨年フェーズ2b(CL-007)治験スタディを任された時、最初にした事は全てのサイトを訪ねPIとスタディ・コーディネーターから直接話を聞き、各ERがどのような患者さんを地域に抱えているか、訪れる喘息患者さんの数や入院率、季節による患者数の変動、等のデータ集積にはじまり、ERのオペレーションの状況、スタディを行うに必要なインフラ、PIやスタディ・コーディネーターの経験や興味の深さ、、等を評価する事でした。この活動を始めた時、前チーム責任者からは「フィラデルフィアのサイトにはCL-007スタディは出来ない。今すぐ閉鎖すべき」というものでした。この病院はその時点での最新プロトコールが倫理委員会の承認を受けておらず、エンロール(患者登録)どころか患者さんのスクリーニング(治験に参加できるかどうかを調べる事)さえ行われていない開店休業状態。フィラデルフィアの隣町にあるCooper Hospitalを訪問した時一緒だったErnest(現CL-007プロジェクトマネージャーの名前)が翌日“アポ無し”でDr.Kellyのサイトを訪問すると言い出しました。このサイト訪問はDr.Kellyで3週間後に予定されていたのですが、Ernestは「会えるかもしれないから、ともかくトライする」と翌日朝の5時から6時にシフトが明けるDr.KellyをER待合室で待ち伏せ。Ernestは「Dr.Kellyを待っている1時間の間だけで“少なくとも6人喘息患者”がERを吸入治療を受けているのを目撃した」と連絡してきました。その後の正式なサイト訪問でここがとてもポテンシャルの高いサイトだという事を確信しました。改めてスタディ・コーディネーターや呼吸器治療技師の方に必要なトレーニングを行い、このサイトが初めて患者さんをエンロール出来たのが、5か月後の11月27日。でも中々その後がうまく続きません。サブ・インベスティゲーターの若い女医さんKathiaはエンロールが順調なサイトのスタディ・コーディネーターに思い切って電話をして助言を求めたのだそうです。その後、少しずつエンロール数が増えました。今年の2月にはDr,KellyとKathiaの計らいでGround Round(病院のドクター全員を対象にした教育レクチャー)に呼んで頂きました。はじめは「製薬会社さんが商品の説明に来たのですか?我々の時間を無駄にしないで下さいねー」といった感じの冷やかな態度だったERのドクター達に、MN-221が日本のキッセイ薬品からライセンスアウトされた事、そもそもは切迫早産の治療薬として開発されてた事、私自身がERで働いていた時に小児喘息患者さんへの吸入薬投与が難しかったった上にアルブテロールの使い過ぎで副作用の不整脈を経験した事がMN-221を喘息急性発作の治療薬の開発と適応症を方向転換する切掛けになった事、、等を説明すると、段々ERドクター達の態度が変わっていきました。最後は共同研究を持ちかけられ(この話は以前ブログで書きましたね)、更にはERドクター全員が(ER部門のチーフドクターまでが)サブ・インベスティゲーターになって下さったのです。

度々ICUに入院していたある患者さんがCL-007治験に参加した時には劇的に症状が改善しERから直接家に戻った、、が、後日、再度発作でERに来た際は治験には参加出来ず、またICUに入院となった、と前回のブログに書いたエピソードもこのERでの事でした。

口コミでMN-221の事が知られるようになって、地元のNBC局が病院へ取材する、、という事に至ったようです。全くCL-007スタディのアクティビティの無かった病院が半年余りで、MN-221の大きなサポーターとなり地元のTV局でMN-221が取り上げられる迄になった経緯は、自分達が去年から取り組んできた事の社会的帰結をみる様で感慨深いのです。

話は変わりますが、、

震災直後から、アメリカにいても、震災地医療支援が可能なドクターを募集(特に日本語が話せる小児科や内科医)するメールが何度も届き、張り切ってあちこちに登録してから早1か月余り。しかし登録先からは未だ連絡も無いまま。しかし、「日本語を話せ、震災地支援出来る医師を募集しているので是非協力して下さい!」という似た内容のメールが様々な団体・媒体を通して今でも何度も届きます。‐何だか府に落ちない気持ちです‐。

去年のハイチ地震の際にも登録したのに、声をかけられなかった私。(その時は患肢の切断など外科手技が出来るドクターを優先してると言われ納得しましたが。。)意外と医療支援の人手が足りているという事なのでしょうか、、、、?

 

2011年5月 松田 和子