A: 患者さんが少ない稀な病気を対象とする治療薬は、なかなか開発が進みません。患者さんが少ないことで、そもそも病気の原因究明自体が進んでおらず、そのために薬での治療法が確立していないこともあります。 また、治験などを行うにしても、そもそも患者さんが少ないために十分な安全性データを集めるのが困難な事も問題になります。
特に、稀なだけでなく進行性で重篤な疾患の場合は、治験に参加してもある一定の確率でプラセボ(偽薬)を投与されるというのは患者さんにとっては、あまり喜ばしいことではないので、治験に参加しようという気持ちになるのが難しい場合もあるかもしれません。
新薬を開発する製薬会社としても、患者さんが少ない病気の治療薬は売り上げが少ないということで開発を敬遠する会社もあります。
今回、私達は特発性肺線維症という疾患でMN-001を開発するにあたり、FDAからオーファンドラッグの指定を受けることが出来ました。特発性肺線維症というのは、原因不明で進行性の重篤な肺の病気です。診断されてからの生存期間が平均で3~5年間と言われています。肺が線維化して固くなり、十分に体に酸素を取り込めなくなります。患者さんの数が少なく、(アメリカでは13万人程度)その原因は今もわかっていません。
アメリカでは、1983年に“オーファンドラッグ法”が制定されました。これは、患者さんの数が20万人以下の稀な疾患を対象とする医薬品を“オーファンドラッグ”とし、薬の開発をする上で様々な優遇措置を設けることで、なかなか開発に進まない希少疾患の治療薬の開発を助けようと制定されたものです。開発は順調にすすみ、市場に売り出された際には、市場での独占性を一定期間認め、税制上の優遇措置が与えられます。助成金の支給が受けられたり、優先審査が受けられる似た制度が日本にもあります。
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