A: こんにちは。チーフ・メディカル・オフィサーの松田和子です。
先週の日曜日、ロサンジェルスではアカデミー賞の授賞式がありALS(筋萎縮側策硬化症)に罹患したイギリスの理論物理学者スティーブン・ホーキング博士の半生を描いた映画“The theory of Everything ”(邦題:博士と彼女のセオリー)で主役を演じたエディ・レッドメイン氏が最優秀男優賞を受賞しました。受賞時のスピーチで彼は、「このオスカー像は世界中のALS(筋萎縮性側索硬化症)と戦っている人のためです。特にホーキング博士の子どもたちのためのものです」というメッセージを送りました。
昨年は夏にALS啓蒙運動としての‘ALSアイスバケツ チャレンジ’が大きな話題になり、11月にはこの映画が封切られ、まさにALSという難病に多くの方からの関心が集まった年だったように思います。
さて、当社が昨年10月に始めたフェーズ2治験ですが、先日、予定登録患者数の半分である30名登録に到達しました。手前味噌と言われるかもれませんが、アメリカのビッグ・ホリディであるサンクス・ギビングやクリスマス休暇を挟んでの4ヶ月弱の間に、30名の患者登録を、たった1つの治験センターで達成できたのは、本当に凄いことだと思っています。
MN-166はアメリカでは未承認薬なので、治験参加には色々な条件を満たさなければいけません。トータルで1年間の服薬と定期的な通院が必要、特に最初の1ヶ月には頻回に治験センターに通院する必要があり、治験参加の大前提としてはそのスケジュールにあわせて通院できること、またALSの薬として唯一認可されているリルゾール服用で副作用が無いことのほか、心電図、血液検査での異常がないことも条件です。我々の治験には州外からの問い合わせも多く、会社には度々、直接問い合わせの電話が掛かってきます。残念ながら、現時点では、ノースカロライナでしか患者さんは受け付けられない状況です。中には一時的にノースカロライナに引っ越してでも治験に参加しようとする方もいましたが、そのようにわざわざ州外からいらしても、何か1つでも条件が合わないと、治験に参加できないのです。
治験に関して更に興味のある方はhttps://clinicaltrials.govというウェブ サイトで“ALS またはAmyotrophic Lateral Sclerosis”そして“Phase 2”というキーワードで検索してみてください。このウェブ サイトは政府機関が管理する治験に関するオフィシャルなサイトで、色々な情報を得られます。アップされている情報には、どんな治験が、どんなデザインで、どの医療センターでおこなわれているか等が記されています。治験が始まっており患者さんを登録中のスタディはRecruiting、治験が終了しているものはCompleted と表示されます。Active, not recruitingとあるのは、治験が始まったものの、何らかの理由で治験が中断されていることを意味します。登録予定患者数、治験開始時期や完了予定時期などの情報を得ることも出来ます。
このウェブ サイトで検索すると、他のALSの治験では48名の登録予定・3か所の医療センターでの治験で完了までに2年を予定しているもの、80名の登録予定、10か所の治験センターの治験で完了までが4年などと記されています。こうして比較すると、1か所の治験センターで4ヶ月という短期間で30名もの登録を完了できたことが如何に凄いかということが、わかっていただけると思います。
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