A: こんにちは。チーフ・メディカル・オフィサーの松田和子です。
NASHという病態は、近年になって理解されてきた病態です。病名が示すとおり、最初は「アルコール性肝炎に非常に似ている病態だけど、アルコールのせいじゃないゾ!」ということで、「非アルコール性脂肪性肝炎」というちょっと変な名前がつきました。名前だけをそのまま解釈すると、アルコールが原因のもの以外は、全て“非アルコール性”ということになります。
病態が知られるようになった当初は、アルコールが原因ではないということ以外は詳しい原因は良くわかっていませんでした。近年、研究、調査などがだんだんと進み、どうも、所謂メタボリックシンドローム(特に2型糖尿病や高脂血症)の患者さんに多いことも分かってきました。でも、今もなお、原因や肝炎の発症機序の詳細が解明されていません。
油っぽい食事を避け、健康的な食事をしている私がどうして脂肪肝?ということがあります。私達の体には、すぐに使われずにあまった糖分から脂肪酸を作り出して蓄え、将来空腹が続いたときにエネルギーとして使えるシステムがあります。ですから糖分を余計(自分の体が必要とする以上)に摂取していると、余計な脂肪が蓄えられるのです。 蓄積された脂肪から色々な厄介な物質が分泌されて、血液中の糖分をコントロールするインスリンというホルモンの分泌や働きを悪くしてしまうことがあります。そうなると糖分や脂肪に関する様々な要因が影響し合って、悪循環が起きてしまうのです。こういうことがメタボリックシンドロームの原因と考えられています。
NASHはある日突然起こるものではありません。まず血液中の脂肪(特に中性脂肪)が増えて、それが少しずつ肝臓に蓄積して脂肪肝になります。血液や肝臓の脂肪が増えているだけでは自覚症状がないですから、そういう意味ではメタボリックシンドロームでなくても、知らず知らずのうちにNASH予備軍のような状態が始まっていることは考えられます。
過食を避け、適度に運動、定期的に健康診断を受けて、自分の健康状態を把握しておくことが大事ですね。(これはNASHに限らず、全ての病気に言えることですが…)
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