A: こんばんは。社長の岩城裕一です。
先週(3月20,21日)、ノースカロライナ州Durhamで行われたアメリカ肝臓病学会・製薬産業各社の協賛協議学会(AASLD and Industry Colloquium)(AASLDと医薬業界との共催の学会)に行ってきました。本来なら、松田先生から報告してもらう予定でしたが、彼女は日本出張後にダウン。ベッドから起き上がれないほど不調だそうで、私一人の出席となりました。
本学会の大きなテーマは「全世界の罹患者が、未だに2億人とも3億人ともいわれているB型肝炎」と「治療薬のないNASH」の2つでした。B型肝炎のセッションはNIHやアカデミズムKOL(Key Opinion Leader:治療指針に影響力を持った医師、または医学専門家)からの報告、発信が主である一方、NASHのセッションは治験を遂行している製薬業界からの発信が主でした。
我々の発表は、多くの参加者の注目の的でした。というのも、数あるプロトコールの中で、もっとも最近にFDAが認めたばかりのフェーズ2のプロトコールだったからです。ということで、プロトコールを真似させて欲しいとか、FDAからのコメントについての詳細(最近のFDAの考えがどうなのか)を教えて欲しいとかの質問を多くうけました。 肝臓が専門の臨床医からは治験を一緒にしたいとか、MN-001が血清中の中性脂肪を低下させていたこと(過去の臨床治験で)は脂肪肝炎の治療薬として魅力的であり、ポイントが高いというコメントも頂戴して大満足。
もっとも、最近のNASHのセミナーで強く指摘されているように、以下の理由でNASH領域はまだ混沌としているという事にも突っ込んだディスカッションがなされました。
- 承認のためにFDAが求めてくる主要エンドポイントは?
- 臨床家は治療すべきNASH患者をどう選択するか?(NASHなら誰でも治療するのか?NASHの程度で異なる治療目的)
- 肝生検以外の非侵襲的な評価方法が広く受入れられ、広まるのはいつか?
- 承認された治療薬に対して保険会社がコストを支払う患者のカテゴリーは?
NASH治療薬領域はどう開発していく上での方向性や基準は細い部分ではまだはっきりしていない部分が多く、これからも現場は試行錯誤しなければならない可能性ありということを再認識。
写真は、ポスター発表で私たちと並んで発表していたIntercept社CEOのDr. Mark Pruzanski。ちなみに、私と彼は、かれこれ10年以上の知り合い。というのも、昔まだ臓器移植医だった頃にMarkから頼まれて、3年ほどInterceptのアドバイザーをしていたことがありました。我社の発表演題をみて、「FDAが何をApproveしたのかとビックリしてきたんだよ!とにかくトライアル頑張ってください。」と、そして、私からは、「お互いの薬はメカニズムが違うから一緒に使えるな。お互いがんばろうぜ」といって別れた次第です。
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