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2010年上期末を迎えて~株主の皆様へ~

2010/06/30

株主の皆様方、こんにちは。

 

このメールを書いている今は日本の日付で630日未明です今日は2010年度の上期末を終える日となります

何よりまずは、上半期の目標であったMN-166の導出が完結されずにこの日を迎える結果となった事を率直にお詫び申し上げます。

 

何度か前のブログでも触れていますのでしつこくなりますが、MN-166の導出活動においては何も不都合な材料がでてきたとか状況が後退したという事はありません。多発性硬化症の適応に関しては治験を終えた頃に比べると、学術分野の専門家にも企業に身をおく専門家においてもMN-166に対する理解も評価も数段高まっています。これは数年前に比べこの病気に対する概念が変化してきた事に由来するのだと思います。デューデリジェンスにおいて、交渉相手に我々が持つ研究結果などの関連資料を開示するためのe-roomと呼ばれるサーバーは常にいくつかの交渉対象会社がアクセスしています。昨年末、アヴィジェン社と合併したことで多発性硬化症以外の適応症も交渉の対象となり、そもそもの交渉を複雑化させております。もちろん私たちもフレキシブルなストラテジーで対応していますが、相手のある事のため時間的には自分達の思うように事が進まないという状況は確かです。上期導出という目標は達成できませんでしたが事態は進捗していることをご理解いただけますと幸せです。

 

私は昨年末にメディシノバに入社して以来、臨床現場や研究活動をお休みしメディシノバに全力を注いでいます。今年の5月に入った頃から毎日のように仕事の夢を見るようになりました。朝起きると、既に一仕事したような錯覚に陥ってしまうくらいです。この話を同僚にしたら、彼も「そうだよね、24時間ずっとMN-166 MN-221のことを考え続けるようになった証だよ。一緒にがんばろう」と。小児病院と大学で臨床&研究で充実した時間を過していた私が、ここに来て“企業の人間”に転身したのは、何より“日本発のこのお薬を絶対に世の中に出したい!”から、そして“一度関ってしまった者としての責任”を強く感じるからです。

 

こうして色々と説明をしても結果を出さなければ、単なる言い訳にしかならないのも事実ですし、私達も十分承知しています。現在南アフリカで開催されているワールドカップ サッカーで日本チームの岡田監督が魅せた“やる時はやる!勝つという結果を出して落とし前をつける”ことを私達も見せなければいけません。

上期末を迎え、株主の皆様方から多数頂いた、叱咤(ほとんど)激励(少し)のお言葉を強く心に刻みかみ締めています。   

松田和子

内部統制監査に関する監査法人からのレターについて

2010/06/22

こんにちは。東京事務所岡島です。


6/10に定時株主総会が終了し、6/14に新しくチーフ・ビジネス・オフィサーを迎え、新たな動きがスタートしました。

 

6/11にファイリングした有価証券報告書と同時にプレスリリース「内部統制監査に関する監査法人からのレターについてのお知らせ」を開示しました。これについて上場廃止になるのではないかといった問い合わせが多数寄せられましたので、本日はその実情について詳しく説明したいと思います。

 

昨年度の内部統制監査を監査法人に依頼していなかったことについては紛れもなく当社のうっかりミスですので、ステークホルダーの皆様には深くお詫び申し上げます。

実際に当社経営陣が本ルール改正について国内での法改正が我々外国企業にどのような影響があるかのチェックをお願いしているアドバイザーから確認されたのが今年1月に入ってからでした。本来であれば昨年の早い段階で指摘があれば十分に対応できていたものなのです。監査法人とも交渉しましたが、既に終わった期に関して遡って内部統制監査ができるはずもなく、本レターによる対応となったものです。

 

また、本件は金融庁、大阪証券取引所と打ち合わせをしながら対応をしたものでこれにより上場廃止になるようなものではありません。

 

有価証券報告書ファイリングと同時に内部統制報告書をファイリングしております。これらに本来、監査法人の内部統制報告書の監査報告が付かなければなりません。しかし、監査法人に依頼を行っていなかったために、本レターを監査法人の監査報告の代わりになる書類ということで添付することを金融庁にも理解いただきました。

開示のタイミングに関しては、意図的なものではなく、有価証券報告書ファイリングは昨年と同じ時期(昨年は6/10)であり、この書類を説明するプレスリリースであるので、このタイミングになりました。事実として、監査法人の内部統制監査としての監査は受けておりませんが、彼らが行った財務監査の中に財務報告に係わる内部統制の評価も含まれていることが、本レターに記載されています。

 

また、経営陣としては、内部統制の有効性についての評価を実施し、財務報告に係る内部統制は有効であると判断しているということです。決して内部統制が的確に行われていないということではないことをご理解下さい。

米国に時価総額による内部監査ルールに差があったために、日米の規則の相違点でルールの狭間に落ちてしまったような感じです。本年以降については時価総額等の多寡に関わらず、毎年統合監査を行うことを予定しておりますし、本年度については既にKPMGに依頼済みですのでご安心下さい。

 

非常に長い言い訳となってしまいましたが、今後、本件のようなことがないように国内の規則改定に細心の注意を払い対応していく所存です。

引き続きサポートの程宜しくお願い致します。

 

岡島 正恒

2010年問題とエコファーマ

2010/06/14

最近、“2010年問題”という言葉を耳にした方が多くいるのではないでしょうか。いわゆる“2010年問題”とは、日本の製薬業界において2010年前後に大型医薬品の特許が一斉に切れることにより、各医薬メーカーの収益に重大な影響をもたらすと懸念されている問題のことです。本来は特許が切れると、ジェネリックといわれる形で同じ有効成分を持つお薬が比較的廉価で手に入れられるようになるため、一見、患者さんにとっては有り難いことです。

「良いお薬が廉価で手に入り、医療費も抑制出来、良い事だらけなのにどうして懸念なのだろう?製薬業の人々は自分達の利益が減る事ばかり心配して“問題”と呼んでいるのだろうか?」と思われるかも知れませんが、問題は別のところにあるのです。

新薬の開発というのは、信じられないほどの時間、労力、費用を必要とします。国内外を問わず、多くの製薬会社が、今まで新薬の開発に力を注ぐことが出来たのは、売り上げの多いお薬からの収益を新薬の研究開発費に使う事が出来たからです。研究開発費が限られてしまうと、今後の新薬の開発自体が縮小されてしまいます。特に、患者さんの少ない難病の治療薬の開発は益々厳しくなる可能性が高いのです。研究開発が停滞すると、

新薬が出てこない⇒収益をあげる製品が無い⇒研究開発費に回す資金がない⇒新薬が出てこない

という負のスパイラルに陥ってしまいます。この2010年問題については、新潮新書の「医薬品クライシス―78兆円市場の激震 」(佐藤健太郎著)に詳しく書かれています。

このような現状で今注目されているのが「エコファーマ」です。

エコファーマとは既に承認されている医薬品から新しい医薬品の卵を発見する創薬手法のことです。私はこの言葉を九州大学薬理学の井上先生の論文(*参照)で知りました。(以下、論文の一部より抜粋、引用)

しかし,新規医薬品を開発するには巨額な開発費をかけても10数年の歳月が必要とされ,今現在、痛みに苦しんでいる患者には何の助けにもならない。新薬の開発に努力する一方で,開発までの間に患者救済の何らかの工夫が必要となる。その一つとして,国が既に承認した医薬品の中から,薬理学的基礎データを基にして新しい創薬シーズを探索しようと試みた。既承認医薬品には膨大な基礎資料があり,ヒトへの安全性の確保もはかれ,従って開発時間の短縮が図れると考えられる。このような,発症メカニズムに根ざした新薬候補を人類の資産である承認済み医薬品から見出す試みを「エコファーマ」として提唱したい。患者に対しては短期間で薬を提供できるし,製薬企業からすれば既存薬の新規適用拡大(リポジショニング)につながり,薬の寿命を長くするという効果をもたらす。また,適応外処方をしなければならない臨床医の精神的・法的な負担を取り除くという意味もある。

この手法、どこかで聞いたことがありませんか?

私達が開発しているMN-166がまさに、このエコファーマの手法ですよね。井上先生はこの論文の中で、イブジラスト(MN-166)についても言及してくださっています。 

参照論文:ミクログリアと神経因性疼痛:エコファーマへの挑戦 福岡医誌99(12)2392452008

https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/13278/1/fam99-12_p239.pdf

松田和子

大阪と福岡でのIR説明会

2010/06/04

先週末はメモリアルデーのため3連休の週末でした。メモリアルデーとは戦没者を悼む休日なのですが、と同時にアメリカ人にとっては夏の到来を意味する週末でもあります。解禁になったビーチへ繰り出すとか、家族や友人とアウトドアでBBQを楽しむ、、、といった過し方する人が多いようです。私は、出張続きであまり構ってあげられない犬や猫達を長めの散歩に連れて行ったり、、と何をするでもなくのんびり過しました。

さて先週は日本では大阪と福岡でのIR説明会に行ってきました。大阪の説明会での最後のQ&Aのセッションで既存の株主の方から、貴重なご質問を頂きました。時間の関係もありゆっくりとは回答出来なかったのですが、ご理解いただけていれば、、と思っております。

MN-166の導出活動の事や昨年末に合併したアヴィジェンに対してアヴィジェンの株主が起こしていた訴訟の結果についての質問でした。MN-166に関しては私が回答し、アヴィジェンへの訴訟の結果については東京代表の岡島が回答致しました。

MN-166の導出状況については当初の目標から大きく遅れているのは事実です。以前はどうしても「アヴィジェンが全く同じ化合物を別の適応症で開発中」という事実に対して交渉の場で色々問われる事が多かったのだそうです。

そこで、両社が合併する事により

1. 両社、お互いが競合しあう事にならない、
2. 両社の持つイブジラストのデータ、適応、特許を共有する事での
  シナジー効果 

というメリットがあることを確認し、合併交渉を開始し、少々時間が掛かりましたが昨年末、合併が整いました。合併後の現在は、慢性神経性疼痛と薬物依存という新たな適応症が加わった事、イブジラストのアナログ化合物の特許や高用量でのデータも得られた事でMN-166の価値が高まったと思います。また
Neurogoly掲載論文やDr. FoxEditorial commentのお陰で多発性硬化症の領域でも、23年前よりももっと評価が高まりました。そのため良い意味で状況が以前よりもちょっと複雑になっている部分があります。多発性硬化症治療に興味がある会社だけでなく神経性疼痛の適応に興味を示す会社とも交渉していますし、交渉の途中で相手の興味が多発性硬化症から次第に慢性疼痛に移っていったり、その逆だったり。導出活動は、決して後退とか足踏みしているわけではないのです。不都合な事実を隠しているという事も一切ありません!!

大阪説明会では男性の聴衆の方から「アルツハイマー病という言葉より認知症という言葉を使った方が判り易いですよ」という貴重なコメントも頂きました。その通りですね。出来るだけ判り易い言葉を使う様に気をつけたいと思います。どうも、有り難うございました。福岡の説明会では、MN-166の脳萎縮のメカニズムについてのご質問を頂きました。学会での質問のようなハイレベルの医学的な質問でしたよ。MN166に興味を持って下さる方がいらして下さって、大変嬉しかったです。

今日は木曜、朝一番でボストンへ向かっています。今回はMN-166ではなく、もう一つのパイプラインのMN-221の件で、です。朝は4時起きと早かったので、機内では離陸前にすでに眠りこけていました。突然の大きな揺れで目を覚ましたので、今こうしてブログを書いたのです。

日本はもう金曜日ですね。皆様、良い週末をお過ごし下さい。

松田和子