多発性硬化症(1)
久しぶりのブログです。
なんだか出だしが定番になったようで心苦しいのですが勘弁の程。
続いてこれまたスケジュールの話で恐縮ですが、多発性硬化症のフェーズ2臨床試験で良好な結果が得られてからというもの、殺人的です。私だけでなく会社全員で動いているという感じ。
どんな感じかと言いますと、私の他4人の執行役員のこの2週間における訪問地をみるだけでわかります。アメリカ国内だけでもニューヨーク、ボストン、ダーハム、フィラデルフィア、プリンストン、サンフランシスコ、シアトル、それにアメリカ以外ではドバイ、シンガポール。で、明日からは集中的にヨーロッパ。これだけ仕事をしているのですから必ず報いはあるはずです。
前置きはそれくらいにして、 多発性硬化症 について紹介したいと思います。
多発性硬化症はいまだに原因不明の難病であることは間違いないのですが、病態が少しずつですけれど解ってきたんです。ちょっと前までは、神経を覆っているミエリン(Myelin)という索がダメージされることが主体の病気であると理解されていたのですが、最近の研究から、ミエリン索だけでなく、 アキソン(Axon) と呼ばれる神経そのものもダメージされていることが解ったのです。しかも 病気の早い時期からダメージされていることが解ったのです。つまり、神経ユニット全体が損傷されるということです。
話を戻します。神経ユニット全体が損傷されるということであれば、神経全体を保護してあげれば病気の進展は抑えられます。 MN-166は神経全体の炎症を抑えることで薬効を認めるだけではなく、いろいろな神経再生の物質を放出することで神経再生、保護作用を持っていることがわかりました。むしろ、神経保護作用の方が抗炎症作用より薬効として強いかもしれません。というのも、今回の試験のMRI検査によると、治療を受けていた患者さんでは、脳の萎縮が認められなかったからです。
びっくりしないでください。これらの研究は日本の研究者たちが世界の研究者をリードしているのです。そして、これらの研究にはメディシノバのMN-166が大いに寄与しているんです。 うれしい話ですね。
どうですか。この薬、どうしても上市させなければなりません。
忙しい理由もここにあり。
2007年5月6日
岩城裕一