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プロフィール
岩城裕一 岩城裕一

メディシノバ
代表取締役社長兼CEO
(最高経営責任者)
南カリフォルニア大学医学部泌尿器科学、外科学、病理学教授。1992年より移植免疫学・免疫遺伝学研究室ディレクター。取締役会長として創業設立より事業開発、資金調達等、事業全体の統括を支援。詳しくはこちら>>

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火事で思ったこと

2007年10 月29日

毎年この時期の南カリフォルニアでは“Santa Anna Wind” と呼ばれる、乾いた風が南方から吹き荒れます。空気は非常に乾燥するだけでなく、気温も高くなります。特に風の通り道にあたる山丘地形では風はさらに速度を増し、この強い風で 乾燥した葉が擦れあい、その時に起きる静電気がきっかけで発火するそうです。そして、吹き荒れる乾燥しきった風にあおられてアッという間に広がって山火事になります。

 このあたりの山火事は毎年の事ですが、今年は特に被害が大きく酷かったようです。先週末にはまずロサンジェルスの北に位置するマリブで山火事が発生し、 翌日からは、今度はサンディエゴでも山火事、そして更に内陸部のサンベルナルディーノ郡でも山火事。灰や煤が空から降ってきますし、澱んだ空気のせいで空は風変わりな紫色に染まっていました。サンディエゴの火事は特に広い範囲で猛威を振るっていましたので、小さな会社ですが、社員の半分以上の居住地が避難勧告の対象になり、とにかく落ち着かない1週間でした。

 火事に巻き込まれた直接の被害を受けた方達以外に、汚れた空気のせいで病院の救急部は喘息の悪化した患者さんであふれ返っていたそうです。TVニュースでは100万人の住民に被害があったと報じています。それでも亡くなられた方は今の時点では数名だそうです。

地震やハリケーンのように一瞬のうちに全てが壊れてしまう災害に比べると、火の手が追ってくるのを確認しながら避難する準備が出来る分、同じ災害でも人的被害が少なかったのでしょう。とはいえ、被害者の方にとっては、住宅という物理的な物をなくしたことも大きなショックでしょうが、それ以上に人生の軌跡が詰まっている「家」をなくすということのショックは計り知れないようです。朽ちた焼け跡から、皿を見つけて涙を流していた家族を見て、私も思わず涙を流してしまいました。

政府は、心のケアに対応するスタッフを増員するそうです。

サンディエゴにて

岩城裕一

ノーベル平和賞

2007年10 月15日

本当に今年は暑い夏でしたね。秋になっても暑さは続き、先週訪れたシカゴでは、10月というのに汗ばむほどでした。10 月7日のシカゴマラソンでは多くのランナーが熱中症で病院に運ばれ、お気の毒に亡くなった方もおりました。これもやはり地球温暖化が関係しているのですかね。

 昨日、ノーベル平和賞が元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏に授与されました。彼の映画“不都合な真実”には、多くの皆さん同様私も感銘を受けました。現ブッシュ大統領と戦った2000年の選挙で“不思議な”負け方をして国政の舞台から去ったものの、講演や著作、映画を通して、“役職に頼らない”彼自身のやり方で啓蒙活動を続けていました。ずっと昔からライフワークとして国際環境問題に地道に取り組んできたことが大きく評価されて本当に素晴らしいことだと思います。目先の利益や周りの情勢によって座標軸がぶれることなく、自分の信じることを地道に貫くことの大切さを今一度感じ入っている次第。

前置きが長くなりましたが、私達の開発するメディシノバのパイプラインにも最近明るい材料が続いています。

まず一つめは、先週のプレスリリースでも発表いたしましたが、MN-221のフェーズ2の結果です。これ以上はないというくらいの良好な結果が得られました。意外と思われるでしょうが、最近はアメリカでの喘息による死亡数はエイズによる死亡数よりも多いんです。エイズの原因であるHIVに対する研究が進み優れた治療方法が開発されたおかげです。しかし昔からある喘息の急性発作に対する治療は目立った進歩がないのが実情です。急性発作時に確実に注射で投与できるβ2アドレナリン・レセプター作動薬MN-221は、毎年5千人近くいる喘息による死亡患者さんをかなり救えるようになるはずです。

 それから二つめの明るい評価は、多発性硬化症のMN-166。以前にもブログやプレスリリースでご報告しましたが、10 12日に行われたプラハの多発性硬化症の国際学会で成果を発表いたしました。 フェーズ2試験で認められたMN-166の神経保護効果に対する関心が高く、同じ時間帯に他の会場で幾つも別の発表が行われているにも関らず、学会参加者の半数以上が我々の成果発表を聞きに会場に集まりました。プレスやインダストリーからの問い合わせが増えていい意味で忙しい時間が続いています。

 ということで、ゴア氏を見習って、ぶれることなく地道に我々の信じる道を進んでいきます。

久しぶりのブログでした。

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岩城裕一

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