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« サンクスギビング ウィーク | メディシノバ ブログ TOP | 治験の結果についての補足説明 »

MN-029について

2010/12/10

皆さんこんにちは。

岩城社長に依頼され、臨床と研究を少しお休みしメディシノバの社員になったのが昨年の11月末。丁度1年が過ぎました。今年の6月からはMN-221-007治験の責任者も任され、夢中になって仕事をしてきたので、特にこの半年の時間の流れは大げさでもなく本当に「あっ」という間でした。そして、ふと気が付いたらもう12月になっていました、、、、。

四季の変化を感じることがあまり無いカリフォルアですが、それでもこの時期は町中がクリスマスの飾りつけで賑やかで、華やかになり、“あぁークリスマスの時期だ、冬になったんだー”と感じます。何となく気持ちが浮き立つ時期なのですが、この時期、人々の移動やショッピングなどで街中への人出も増えるので高速道路も、普通の道路も交通渋滞がもう大変です!先日はサンディエゴからロサンゼルスの自宅に戻るのに5時間(正確には4時間48分)という大記録を樹立(?)した位です!金曜日の夜に移動した事も失敗でしたが、途中何度かある高速道路の乗換の選択の度に私のチョイスが悉く失敗したのが大きな敗因だったみたいです。トホホ、、、

さて今日は、ずっーと書こうと思っていたMN-029の続きを話したいと思います。

MN-029は癌細胞に栄養や酸素を運んだり、代謝産物の老廃物(ゴミみたいなもの)を運び出すなど癌細胞が成長するのに必要不可欠な既存血管を破壊するVDA(血管破壊剤)というカテゴリーに入ります。このカテゴリーには他にも開発中の仲間のお薬候補(競合相手とも言いますね!)があります。最近、日本でも話題になっているのがOxigeneという会社のCA4P Combretastatin A-4 Phosphate という開発薬です。これは、原産アフリカのヤナギ科の植物から抽出された成分を元にした製剤です。MN-029と同じチュブリン重合阻害作用による血管破壊剤です。今年9月に発表されたOxigeneのプレスリリースによると甲状腺癌を対象に行ったフェーズ2/3治験で良い結果が出たとのことです。このCombretastatinについては10月にNHKスペシャルの番組で取り扱われたようです。

他社の良いニュースに便乗する訳ではではないのですが、MN-029 は全く同じメカニズムで、構造的にはCA4Pが第一世代なのに対してMN-029は第二世代。そのため副作用も軽減すると考えられます。脳血管関門を通らないので中枢神経系に働きかけることで起きる嘔吐、神経因性癌性疼痛も少ないのではないか、、というのが専門家の評価なのです。そもそも血管破壊剤は長期間に渡って投与される血管新生阻害剤に比べ、メリハリをつけて使用するお薬なので、投与スケジュールの点からみても副作用を軽減出来ると考えられます。

このMN-029に関しては、サンディエゴのClaremont Keck Graduate Schoolのチームがマーケット、ビジネス戦略についてレポートをまとめるプロジェクトの第一弾としてとして取り組んでいるという話は以前のブログでもお話しましたよね。昨日はチームが当社を訪れ、MN-029の評価、ターゲット疾患評価、マーケット分析、ビジネス戦略などについてのプレゼンを行ってくれました。メンバーは全部で5名(女性1名、男性4名)エネルギッシュな頭脳明晰な面々です。プロジェクトは9月にスタートしこの2か月半の間に、癌治療薬の分野についてものすごく深く勉強し知識が豊富になっています。癌治療薬のマーケット調査の他、最も収益の見込めるターゲット疾患の分析、更に販売時のターゲット価格の分析などになってくると私にはとっては全く専門外。この辺りは(多分)口を半分ぽかんと開けて聴いていたのではないかしら、、、。内容だけでなく、スライドも大変よくまとまった素晴らしいプレゼンテーションでした。私の立場では開発薬の治療効果のメカニズムや安全性においての他者との比較優位性はどこにあるか?といったアプローチでお薬を評価するので、KGIチームのプレゼンテーションはMN-029を新鮮なアプローチで眺める良い機会になりました。

プレゼン後にチームはビジネス戦略チーム(チーフ・ビジネス・オフィサー Michael Coffeeと Geoff O’Brien)やチーフ・サイエンティフィック・オフィサー Kirk Johnsonとのディスカッション。最後にクリニカルチームとして私がチームの皆と会って、プレゼンへのフィードバック意見交換をし、そして次のプロジェクトの概要、そのパイプラインの背景などについて少しレクチャーをしました。改めて感心したのが、全員、私のレクチャー(といっても40分程度の短いものですが)をパソコンにメモを取りながら聞いていたこと。「今どきの」学生さんはメモを取るときにノートにペンで書き込むのではないんですね。じーっとこちらをしっかり見ながら、ブラインドタッチでカチャカチャキーボードの音立てながらメモを取っているのです。すごい!

やっとMN-029の続きを書けてちょっとほっとしました。(続きを書かなきゃと気に掛けていたのですよ)

皆さん、年末にかけてクリスマス会や忘年会などが続く日々かと思います。飲み過ぎ食べ過ぎや健康と安全には気を付けてお過ごし下さい。

松田 和子